税務コラム

2013.06.14

借換え、再借換えをした場合の住宅借入金等特別控除

 より低い利率にするため住宅ローン等を借り換えることがあり

ます。

 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等は、住宅の

新築、取得又は増改築等のために直接必要な借入金等でなけ

ればなりません。したがって、借換えによる新しい住宅ローン等

は、原則として住宅借入金等特別控除の対象とはなりません。

 しかし、次のすべての要件を満たす場合には、住宅借入金等

特別控除の対象となる住宅ローン等として取り扱われます。

①新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のための

ものであることが明らかであること。

②新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど

住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。

この取扱いは、新たな借入金が、本制度の適用要件の一つで

ある10年以上の割賦償還の方法で返済することとされている

ような場合に、本制度の適用対象外とすることは適当ではな

いという考えによるもので、その趣旨からすれば一度目の借換

えのみに限るべきものではないと考えられます。

 したがって、借換えをした住宅借入金について再度借換えを

した場合であっても一定の要件を満たしていれば、引き続き住

宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

 借換えによる新たな住宅ローン等が住宅借入金等特別控除

の対象となる場合には、次の金額が控除の対象となる住宅

ローン等の年末残高となります。

1 A≧Bの場合・・・対象額=C
2 A<Bの場合・・・対象額=C×A/B
A=当初の住宅ローン等の残高
B=新たな住宅ローン等の借入時の金額
C=新たな住宅ローン等の年末残高

2013.06.07

定年前退職者等に支給する転進助成金

 退職後、新たに再就職等をする社員に対する助成策として、

退職後の職業に役立つ資格、技能習得のための社外講座、

試験に要した費用を支給する「転進助成金」は、給与所得又は

雑所得として課税されます。

 退職前に支給が確定するものは、雇用関係に基づいて受け

る給付のため、給与所得に該当します。

 退職後に支給が確定するものは、退職に基因して支払われ

るものではなく、また、本制度の対象となる講座や試験に該当

しなければ助成は受けられないことから、給与所得、退職所得

及び一時所得のいずれにも該当せず、雑所得に該当すること

となります。

 転進助成金は、使用者の業務遂行上の必要に基づき、使用

人としての職務に直接必要な資格、技術の習得を目的とした

ものではないため、非課税とはなりません。

2013.05.28

事業として行われている不動産の貸付けとそれ以外の区分

 土地や建物などの不動産等の貸付けによる所得を不動産所

得といいます。この不動産所得はその不動産等の貸付けが

事業と称するに至る程度の規模(事業的規模)で行われている

かどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なります。

 相違点のうち主なものは次のとおりです。

(1)事業的規模の場合は、不動産の取壊し、除却などの資産

損失の全額を必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、

その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度

として必要経費に算入されます。

(2)賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、事業的

規模の場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しま

すが、それ以外の場合は、収入に計上した年分までさかのぼ

って、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、

所得金額の計算をやり直します。

(3)青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従

者控除については、事業的規模の場合は適用がありますが、

それ以外の場合には適用がありません。

(4)青色申告特別控除については、事業的規模の場合は

一定の要件の下最高65万円が控除できますが、それ以外

の場合には最高10万円の控除となります。

 事業的規模かどうかは、社会通念上事業と称するに至る

程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断

します。ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの

基準に当てはまれば、原則として事業として行われているも

のとして取り扱われます。

(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立

した室数が概ね10室以上であること。

(2)独立家屋の貸付けについては、概ね5棟以上であること。

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